イタリア留学漫画-その2-
『料理教室』
「イタリア料理」といって思い浮かべる料理は、その他のどの国と比べても種類が多い。パスタ、ピザ、リゾット、ラザニア等の定番料理はもちろん、カポナータ、バーニャカウダ等、ちょこちょこ聞くような料理もイタリア料理である。パスタやピザ(※)に関しては種類が多すぎて、お店で何を注文すればいいのか決めるのにだいぶ時間がかかる。
古代ローマ時代に起源を持つくらいだから、そりゃ歴史が古く有名なものもたくさんあって、美味しくて人気が出るのにも頷ける。
簡単な材料とシンプルな調理法でおいしいものが仕上がるという点も、イタリア料理が世界中に広まった理由の一つ。日本料理のようにダシをいちからとったり、煮崩れしないように面取りしたり・・・とかそういう手間はあんまりない一方で、シンプルだからこそ一つ一つの調理過程が非常に大事で、具を入れるタイミング、調味料や火の加減を丁寧にこなしていく必要がある。
少し前置きが長くなってしまったけれど、イタリア来たらイタリア料理っしょ!?というノリで、大学内の学生団体が年に4回ほど料理のスペシャリスト(料理好きの卒業生)を講師として呼んで料理教室を開いている。
広いレンタルキッチンスペースに下の大きいスーパーで買った材料がずらり。
目に留まったのはもちろんワインのボトル十数本。
・・・それそんなに必要かな?????何に使うのかな?????我々たかだか15人くらいよ?????
スポッ
料理の説明がはじまってしばらくして、スタッフの一人がワインを開け、紙コップに注ぎ始める。最初から赤ワイン。おしげもなく注ぐ。
シェフのほっぺがいつの間にか赤い。お前も飲んでるんかい。
ズンチャッズンズンチャッ
料理の説明に飽きた数名の学生が勝手に隅っこで音楽を流し始め、まだ明るいうちから清潔感あふれる白のキッチンスペースをディスコ化する。サビで一同ハモる。
みんな!!!頼むから料理教室本来の目的を思い出してくれ!!!
そんな作者の心の叫びは届かず、ゆったりとマイペースに進められ、6時間かかってやっと料理が完成する。
献立は2種類のリゾット、パルミジャーナ(揚げナス・チーズ・トマトソースを積み重ねた料理)、クロスタータ(タルト生地をベースにジャムやチョコソースを塗ったイタリアの定番お菓子)。
そこで作者、またも重大な事実を発見する。
クロスタータを作る際に、余った小さなタルト生地で友人とこっそりミニ・クロスタータを作った。
のだがしかし、やつらがいない。
自分の子供のように愛を注ぎ形作ったミニ・クロスタータたちがいない!!!
そして犯人は酔っ払いと化したイタリア人スタッフ2名。
お腹が空いて食べてしまったと供述。
終バスが近くなり、あまり味わう暇もなく帰る準備をしていたら、先ほどのスタッフが銀紙で包んだ何かをおもむろに手渡してきた。
これ、よかったら持って帰って。僕が食べてしまった分のクロスタータ。
他のグループが作ったクロスタータをカットして持ってきたという。
・・・・・なんか違くね?
それでもおいしいからすべて許す。
美味しいもの最高、美味しいもの万歳。
美味しい国イタリア、万歳!
※ちなみに作者のおすすめは"Pizza salsiccia e friarielli"=ソーセージとフリアリエッリのピザ。ピザ屋で見かけたらぜひ注文してほしい。(フリアリエッリは菜の花のような、ブロッコリーのような、高菜のような味の野菜。)